阿佐海岸鉄道とお花見列車の簡単な解説
◆ 四国東部の海岸沿い、徳島県の海部駅~高知県の甲浦駅を結ぶわずか3駅、8.5kmの鉄道、阿佐海岸鉄道。そこには形の異なる2両の車両が在籍して活躍している。1両は開業当初から活躍する車両(ASA-100形)だが、もう一両は災害によって廃線となった高千穂鉄道から無償譲渡された「たかちほ」(ASA-300形)。
とても面白いのは、全国の数ある動物駅長たちの仲間としてもかなり異色の伊勢えび駅長がいること。ブログも開設されており、異彩を放っている。
もう一つの話題として、デュアル・モード・ビークル(DMV)の導入を正式決定したことでも知られる。線路上を走る車両がそのまま直接道路上に降りて走ることが出来ることから、約35km南下した室戸岬まで直接乗客を運ぶことが出来るようになるという。経営状態が厳しい中、一つの起爆剤となることが期待されている。
※このページの写真撮影・ご提供 坪内政美氏。(無断転用一切厳禁)
阿佐海岸鉄道・お花見列車
そんな阿佐海岸鉄道では、いろいろな企画をして鉄道の魅力を向上させようとしているのだが、春の時期には「お花見列車」を運転している。
2018年は3/10(土)~4/15(日)にかけての1か月と少しの期間実施した。専用のヘッドマークをこの春新調し、「やまざくら」、「しだれざくら」として運転してまさに花を添えた。
車内にもLED照明を駆使した装飾がいっぱいに施されており、トンネルが多い区間を走る特徴を逆手にとって楽しませてくれる。それは、言ってみれば「昼間から夜桜」といった趣で、あまり車窓が見えないことを逆に活用し、弱点を補って余りある演出と言えただろう。
ヘッドマーク・デザインは日本海ファクトリー!
実は、今回わが日本海ファクトリーがお花見列車のヘッドマーク・デザインを担当させていただいた。
坪内政美氏ご提供のお写真をトリミングさせていただいた画像。大きく拡大しているので、隠しデザインはよ~く見ないとわからない。
「やまざくら」の方はブルートレインさくら号のヘッドマークに似た雰囲気で、山桜の葉っぱを背景に配したものとなっており、「しだれざくら」の方は全く一から起こしたデザイン作りに取り組んだ。背景に青空、柔らかく揺れるイメージのしだれざくらと花びらが少し散る様子。しだれざくらのHMには一目ではわかりにくい、いわゆる「隠しデザイン」をちょこちょこ入れている。
一つはよく見るとお分かりいただけると思うが、背景が黒い部分の上方にある「KAIFU・・・・・KANNOURA」という文字。
全体的に華やかさや清々しさを出したかったこともあり、ごちゃごちゃした印象にならない様にひっそりと入れてみた。あくまでもコンセプトは「青空のもとで映えるしだれざくら」がメインであるため、言ってみれば「気付く人は気付く」という程度の隠し文字のデザインにしたかったのがその理由だ。
もっと拡大すると・・・。
お分かりいただけただろうか?
ゴールドの縁の部分。ASA SEASIDE RAILWAY CORPORATION と書かれ、ぐるりと一周している。
これからDMVが活躍して室戸岬まで直通するようになる時、まさにシーサイド、海岸の絶景を楽しませてくれる鉄道だと実感できるようになるだろう。あらためて言うまでもなく、これから注目していきたい鉄道会社、阿佐海岸鉄道だ。