塗り替えられる鉄道地図・・・JR北海道
つい先日の7/29にJR北海道の社長会見で、鉄道事業を抜本的に見直す方針を正式に表明しました。
その中で、近々「JR単独では維持困難な線区」を公表するとしており、大方の予想では宗谷本線や根室本線の一部など11路線・16区間が該当するとされています。
その数の多さに驚くばかりですが、では「他にどの路線(区間)が考えられるんだろう」と思いますよね。
「地元の足を奪ってくれるな!」「ますます過疎化する!」
これまで何度となく目にしてきた光景ですが、路線の廃止検討が鉄道会社から伝えられると自治体が間違いなく反対する様子が見られてきました。もちろんこれは自然な反応だと思います。そして、鉄道ファン的な視点で考えても「あの風景がなくなるのは寂しい」という意見があちこちで聞かれます。
しかし、鉄道事業者そのものが倒れてしまっては元も子もないというのは当然のことなので、お互いに譲ることの難しい「苦しい選択が迫られる」状態にあります。
そんな中、かなり意外なことが報道されました。
「夕張線、廃止してもいい。」・・・
昨日(8/8)のこと、夕張市は夕張線の廃止を認める方針を固めたそうです。夕張市の鈴木市長はJR北海道の島田修社長との会談後、2019年3月ダイヤ改正時にも廃止になるとの見通しを示しました。鈴木市長のお考えは、
「座して廃線を待つのではなく、『攻めの廃線』を 提案した。ピンチをチャンスに変えるという発想で挑戦し、知恵を出し合いながら地域公共交通のモデルを作りたい」
とのこと。
財政破たんで全国的に有名になってしまった夕張市にとって、「成り行きに任せて、ただ路線が消えてゆく ⇒ 後は自分たちで何とかしなければ・・・」となるよりも、少しでもJR北海道側の意向に合わせることによって「地域づくりに少しでも有利な条件を引き出す」ことができればその方が良いと考えるのは、後で振り返った時に「先見の明があった」と思えるものかもしれません。
鈴木市長と島田社長との会談では
《1》拠点複合施設周辺と市内各地をバス路線などで結ぶ交通体系の見直しに協力する
《2》清水沢地区のJR所有施設などは市への無償譲渡など有効活用も 検討する
《3》JR社員を夕張市に派遣する
といった点で調整が図られるそうで、
確かにそうした仕方での夕張市の整備が「廃線と引き換え」で可能になるならその方がいいという考えもあるのでしょう。
夕張線の現状は・・・
実はこれまでに何度か夕張駅の位置が変更になっています。現在はマウントレースイスキー場に隣接する位置、その前は夕張市役所や市民会館の近くでした。
リゾート需要にシフトして駅を移転したはずの夕張駅ですが、肝心のマウントレースイスキー場のホームページを見ると、施設へのアクセス手段として夕張線が紹介されてもいません。(キハ40系の写真だけは写っていますが。) つまり、それだけあてにされていないことが容易に理解できます。
これからの路線廃止が加速する?
これまで、JRが廃止提案 ⇒ 自治体が猛烈反対 という図式が当然のように見られていましたが、もし今回の様に自治体側から理解を示して「代わりに○○をお願いしますよ」というような条件提示をJR北海道側が喜んで受け入れるとなると、右に倣えで動き出す所が出てくるかもしれません。これは必要以上の廃止を促進することにもなりかねない状況とも思われます。
今後の「該当する沿線自治体」の動きが全国的にも注目されます。
※ 画像提供:歩王のれっつらご~より