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【コラム】特急しらさぎ号のエンブレム・ステッカーがなくなった!

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2015年3月に待望の北陸新幹線開業が実現した金沢近郊。
金沢駅から東がIRいしかわ鉄道となり、JRの特急は基本的に金沢発着で統一されました。

関西や中京地区から富山方面への旅行者は金沢で乗り換えするか、または高山本線経由で特急ワイドビューひだ号を利用するという選択肢になりました。

特急しらさぎ号の車両が全面入れ替えに!

一般の利用者にとってはあまり違いを感じない点かもしれませんが、特急しらさぎ号の使用車両がすべて変更になりました。以前は683系2000番代を専用車両として使用し、その車体側面には「SHIRASAGI」のステッカーが貼られていました。

しかし、北陸新幹線の開業は金沢以東の在来線での特急運用がなくなること(七尾線系統は除く)を意味し、ただでさえ車両運用に余裕が出ることに加え、「北越急行の特急はくたか号の廃止」により車両がさらに転入してくる状況を生み出しました。

余剰車両の転出先は・・・

一方で、国鉄型車両である381系が活躍を続けている地区が南紀方面・北近畿方面・伯備線エリアにもあり、そろそろ車両の置き換え時を迎えていました。残念ながらすべてに足りる両数はありませんでしたが、伯備線の車両はリニューアルされた編成なので、南紀・北近畿の381系を廃車して683系2000番代をそこに転入させることになりました。もっとも、これらのエリアでは交流機器の必要はありませんので、簡易な直流化処置を施して289系という形式に変更しました。現在は特急くろしお特急こうのとりとして活躍しています。

なぜしらさぎ用をすべて転出?

それにしても、どうしてしらさぎ用をすべて転出させたのか?と思うかもしれません。関連する理由を細かく上げるといろいろあるかと思いますが、大きく分けると以下の3つが理由かと思われます。

【1】転出先の整備上の理由から形式数を無駄に増やしたくない。

整備の現場からすると、入ってくる形式の種類が増えると、教育の面でも部品確保・保管の面でも余分に費やすものが増えてきます。北陸エリアで余剰となった車両を適当に寄せ集めるとそうした面で望ましくなかったに違いありません。

【2】683系2000番代は編成組み替えを考慮した設計だった。

JR西日本でも、国鉄型車両の置き換え時期を考慮して新製車両の投入計画をしていたものと思われます。とりわけこの683系2000番代は、付随者のサハを組み替えしやすいように設計することにより、需要の変化が生じるときに用いやすいようにしていたようです。ですから、白羽の矢が立ったというよりも当初からの計画通りだったと言って良いかもしれません。さすがですよね。

【3】編成組み換えに際して需要と供給がちょうどよい。

以前のサンダーバード、はくたかの編成は基本6両、付属3両という構成でしたが、しらさぎの編成は基本5両、付属3両という構成でした。このあたりの全体の両数と先頭車両の両数などを勘案したところちょうど良い組み換えが可能だったということなのでしょう。

現在のしらさぎ号の車両は?

しらさぎ編成のステッカー消滅683系2000番代がいなくなった今、しらさぎ号の車両はおもにはくたか号用の編成だった681系(一部683系)、そしてサンダーバードとはくたかの共通予備編成だった681系も含まれているようです。

※ 画像提供:トレインブックス

その車両たちには以前からのしらさぎ編成用カラーテープが施工されて、ブルーとオレンジの帯をまとっているのですが、残念なことに「SHIRASAGI」のステッカーは貼られていないのです。

写真をご覧いただくとわかる通り、グレーの楕円形のラッピングフィルムが貼られるようになりました。このラッピングの下には、はくたか号用の「WHITE WING」が隠されているのが大半で、一部には「THUNDERBIRD」のステッカーが隠されているかもしれません。

なぜ「SHIRASAGI」のステッカーが消えたのか?

前述の通り、車両そのものはしらさぎ様でなかったものがしらさぎ用に転用されたのですが、「ステッカーを貼れば済むことでしょ」というわけにもいかなかったようです。それは、この北陸新幹線の金沢開業と同時に能登かがり火号、ダイナスター号がデビューし、共通運用となったため、「ほぼしらさぎ号専用」という運用形態ではなくなったからです。

それを言ったらサンダーバード編成も同じと感じますが、サンダーバードの方は定期列車24往復という割合の高さと、元から貼られているという優位性があります。対するしらさぎは定期列車8往復、その他の特急やホームライナーを含めた全運用に対する割合はほぼ半分という状況なのです。まして、新たに貼らなければならないのなら「やめておこう」という結論になっても不思議ではありません。

そうであれば特急加越号復活を!

特急加越号・金沢駅で現在のしらさぎ号は、もともと特急しらさぎだったものと特急加越だったものを統合したものです。(特急きらめきなんてものありましたが)。そのように愛称が区別されていたのは、名古屋発着と米原発着の違いで、特急加越の方は言うまでもなく新幹線からの乗り継ぎをおもな役割としていました。

利用者も、その愛称を聞いただけで区別することができたので、大垣や岐阜に行きたい人、また乗り換えなしで名古屋に行きたい人は特急しらさぎでないとダメだとピンときました。

でも、統一されるとそうした直感的な判断がしにくくなります。きっと、愛称を統一したことには「683系2000番代=しらさぎ」というイメージ作りの意図があったと思うのですが、それが崩壊した今「特急加越号の復活」を検討してもいいのではないかと思うのです。

効率化を求めて利便性を犠牲にした部分を元に戻すチャンスではないでしょうか。

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