札幌集中道内ネットワークでいいの?
北海道の優等列車はほぼ「函館起点」。
国鉄末期を迎える数年前まではそんな列車設定の名残が見られました。それもそのはず、首都圏から青森を結ぶ特急が寝台特急ゆうづる・昼行特急はつかりを中心に昼夜を問わず次々と運転され、青函連絡船へとリレーし、各方面への列車に乗車するという「型」が出来上がっていたからです。
倶知安・小樽経由旭川行きの特急北海、東室蘭経由の特急北斗に加え、網走行き特急おおとりや釧路行き特急おおぞらも、稚内行き急行宗谷でさえも函館でリレーしていたのです。
しかも千歳空港の民間利用の幅が広がる前は航空機利用者の利便性を図るより鉄道利用を推進するということなのか、空港アクセス列車という存在はほとんど感じられない時代が長くありました。
なぜそんな古いお話を持ち出したかと言いますと、「一本列島」ではないですが、鉄道の乗り継ぎを「一本の線」ととらえていた時代の中継点が函館にあったという点で、今再びそれに似た状況にあると思うからなのです。
そんな列車たちの多くは、「札幌」または「札幌に近い地点」を通らずには先に進めない物理的な経路上の制約があり、自然な流れで「一度札幌に立ち寄る」という設定になっていました。でも、それにあてはまらない列車もありました。それは石勝線開業後の特急おおぞら号です。
あのころの特急おおぞら号の問題点
一例として函館を出発する特急おおぞら3号を取り上げましょう(1982年11月時刻表より)。函館を9:40に出た列車は東室蘭経由(通称:海線)で千歳空港駅13:15着で、そのまま一旦札幌に向かいます。そして今通ってきたばかりのルートを逆戻りして再び千歳空港駅にやってくるのが14:29着。何とこの千歳空港~札幌の往復だけで1時間15分のロスを平気で行なっていたのです。その結果、函館~釧路は11時間35分もかかって結ばれていました。
現在ではそんな重複運転をやってのける列車はありません。それで、もし北海道新幹線を利用してその後帯広や釧路に行くとしたら、特急北斗号などで南千歳に行き、石勝線の特急に乗り換えるというパターンになることでしょう。例えばスーパー北斗9号からスーパーおおぞら7号への乗り換えなら新函館北斗から釧路まで7時間30分かかります。(南千歳で38分の待ち時間あり)
ここで原点の「一本でつなぐ」へ。~札幌を無視!~
ここで考えたいのはとにかく「北海道新幹線~道内各都市へ」のパターンです。その利用価値を高めるためには「札幌を通る」という束縛を無視します。
仮に、スーパー北斗やスーパーおおぞらのスピードで計算して新函館北斗~苫小牧~(室蘭本線)~追分~帯広~釧路という設定をするとおそらく6時間50分ほどで結べると思われます。この時間、長く思えるかもしれませんが特急オホーツク号や特急サロベツ号より1時間ほど長いレベル、北海道内においては問題になるほどのものではありません。むしろ、ロスタイムを抱えていたころより5時間も早く結べることに驚異さえ覚えます。
札幌無視は運用でカバー
正直なところ、普通に考えて札幌は無視していいはずない駅、都市です。でも、今回のこの案は実のところ札幌を無視してはいないんです。例えばこういうことです・・・。最速パターンにはなりませんが。
【使用車両283系・2両】
新函館北斗11:09発 S北斗9号連結運転。
↓
苫小牧13:52着 連結解除 14:00発
↓
追分14:45着 Sおおぞら7連結15:03発
↓
帯広16:59着
↓
釧路18:39着
この設定では現行の特急の時間設定に無理やり合わせたので最速の設定とはなりませんでしたが、スーパーおおぞらの時刻設定をずらすことによって、併結待ちの時間を短縮できれば大幅に時間短縮できるわけです。
または、本当に時間短縮したければ「追分から釧路(あるいは帯広)」でも単独運転しても構わないと思います。(需要が確認できてからがいいと思いますが)
なぜキハ283系なのか
この場合の運用をキハ283系としたのは、現在スーパーおおぞらを利用している人の中には新函館北斗からの列車があればそちらに乗りたいと、流れる人もいるかと思うからです。
つまり、スーパーおおぞら号の増結用編成で試験的に運行し、様子を見ながら割合の組み換えをしていくことができます。
そしてこの車両はキハ281系とのコンビ運用が可能であるため、スーパー北斗との併結も問題なく行なえます。
こうした仕方で気動車の使い勝手の良さを大いに活用できれば需要開拓も可能なのではないでしょうか。