オロネ24形A寝台を歩き回る!
先日、岩手県の岩泉町にあるふれあいランド岩泉を訪問し、A寝台を借り切って宿泊しました。この、またとない機会にプルマン式A寝台を観察しつくそうと歩き回ってみました。
ここに置かれている客車は、手前からB寝台2両「オハネフ25-121」、「オハネ25-151」、そしてA寝台「オロネ24-5」の合計3両です。オロネ24は白帯をまとっていますから一目見てわかりますね。
ここで保存され、宿泊用に利用されている車両たちはかなりの高いレベルで元の状態を維持していますので資料的な面での価値も高いと思います。
まずは未知の世界「車掌室」へ!
やっぱり、一度は入ってみたい、いや「座ってみたい!」のが車掌室ではないでしょうか。
そのシャッターを開けるとそこに車掌室がある・・・いえ、うそです。その左側が車掌室です。
いろいろなスイッチ類が並んでいるのを見ると、自分もプチ車掌気分になれます(笑)。
きっと私だけじゃないと思うんですが、車掌室に入って一番心惹かれるものは「行先表示幕の操作盤」ではないでしょうか。乗降口近くに表示される「特急/日本海 青森」といった表示の幕です。
残念ながらスイッチ類が作動するわけではないんですが、それを見ることができたのはやっぱりワクワクする経験でした。
この車両は最後まで現役でいた車両のうちの一両なので、表示幕にもわずかな列車名と行先しか入っていなくて、寂しさを感じてしまうのも事実ですが、頑張ってきた証でもあることを考えると熱いものがこみ上げてきます。
旧喫煙室は眠れぬ夜の憩いの場
車掌室の真向かいにあるこのスペースは旧喫煙室です。プルマン式A寝台の上段には小さな小窓しかありませんから、タバコを吸わない人であってもここにきて車窓を眺めながら過ごしたりする人が少なくなかったんじゃないでしょうか。同じ列車のリピーターの中には顔見知りの車掌さんができて、おしゃべりするのが楽しみだった!なんて人もいたのかもしれませんね。
いつから掲げられているのかはわかりませんが、寝台特急北斗星に400回以上乗った画家の鈴木周作さんの絵が飾られていました。優しいタッチの画風で北斗星を描く鈴木さんには多くのファンがいるそうですよ。
プルマン式の通路を歩く!
ブルーのモケットの座席(=寝台)が並ぶのを両側に見ながら歩く中央の通路は赤いカーペットが引き締まって見えます。静態保存されてすでに2年になりますがきれいに保たれていて嬉しいですね。
通路を歩きながら気付いたことの一つは「はしごの持ち手がけっこう邪魔になる」ということです。はしごそのものはたたんで仕舞い込むことができるのですが、持ち手部分は出っ張ったままになります。私自身、この通路を何度か往復するに際して数回腕をぶつけました。
洗面所も在りし日のまま!
三面鏡がついていて、お湯と水のバネ式水栓がついていて、隣に知る人ぞ知る「たんつぼ」があって・・・。まさに、在りし日のままの姿を見せてくれる、岩泉のオロネ24。余談ですが、このたんつぼというのは昔の「らい予防法」によって設置することが求められていたものだそうですね。今ではその法律自体が廃止されたそうです。
同じ形で2セット並んでいるのですが、片側(右)だけが現在でも使用可能となっています。乗車定員28名でしたから、洗面所が一つではなく二つ設けられていたのが重宝したでしょうね。
飲料水・冷水器(使えないけど)
国鉄時代の長距離列車にはごくふつうにみられた冷水器と平面紙コップ。
おそらく、衛生管理の基準が厳しくなって消えていったと思われる冷水器ですが、私はこれが大好きでした。当たり前ですが、とっても冷たい水が出てきてもちろんタダで飲める、貧乏旅行の学生にとってのありがた~いアイテムだったことを思い出します。
最後に、今でも現役!のトイレたち
見てください。この懐かしい姿! これこそ列車旅という感じがするではありませんか!
しかも、あの懐かしい洗浄水が流れるんですよ。すごいこだわり様です。
排水に関しては、しっかり下水道につながっているようですので安心してください。