プロローグ
2024年春。あと1年と少しで大きく変貌するエリアがある。
それは福井県。
そして関西・中京圏~北陸のアクセスががらりと変化するに違いない。
まずこれまで名古屋・米原~金沢で結ばれていた特急しらさぎ号が存続するのか。
米原~敦賀(45.9km)の特急を引き続き走らせる可能性は高くないと思うが、リレー特急として残るか、または名古屋直通(125.8km)のものだけになるか、あるいはどちらもなくなってしまうのか。
大阪発着の特急サンダーバードについては引き続き重要な位置づけであり、なくなることはないだろう。堅田、近江今津といった中間駅の停車はすべて新快速に委ねて完全なすみわけを行うことが予想できる。
車両の移動と配置
「JR西日本・2022年問題」なんて、大げさな名称は必要ないだろうが、特急サンダーバードの走行距離が現在の半分になったなら当然のこととして車両の余剰が発生することになる。
そこで私が個人的に予想するのが特急やくも号への転用である。JR西日本の今後の計画を示した「JR西日本グループ中期経営計画2022」によると、「特急やくもの輸送品質向上」という記載があり、これを大きく解釈して「新型車両の投入」と考えたくなるところだが、はっきり言って余剰車両の行き先がないと困ることからすると683系が転用されると考えるのが自然ではないだろうか。
それでも!だ。特急やくもの編成は4両~7両。超混雑期でも9両である。後藤総合車両所の381系が70両にも満たないことを考えるとまだ余剰が出るかもしれない。特急しらさぎの動向によってはさらに・・・。
それを考えた時に私の妄想は動き出した。
電車版「ムーンライト」シリーズ復活!
JR西日本関連では過去に多くの夜行快速列車が12系・14系などの客車で運転されていた。四国方面へのムーンライト高知・ムーンライト松山、山陰へはムーンライト八重垣、ほかにもムーンライト山陽、ムーンライト九州などである。いずれも、客車運用を敬遠する傾向の中で「老朽化」・「利用者の減少」という名目で消滅していった列車たちである。
長距離夜行バスが今もなお数多く走っているそうした区間でムーンライトシリーズを復活させることはできないだろうか。
683系は「モ」の比率が低い
夜行列車に「客車」が多かった理由の一つとして動力に伴う騒音があった。「モーターの音がうるさくて眠れない」という人に配慮する部分があったのだろうと思う。機関車と電源車だけに音の発生を集中させて客車では静かに線路のジョイント音だけをということを目指したかったのだろう。(分散電源の音は別として)。もっとも、それ以上に速達性を望む人もいて583系寝台電車の存在価値はあっただろう。
しかし、いずれにしても騒音が少ないに越したことはない。そこで、現役寝台特急車両である285系電車に注目すると7両中2両だけにモーターがあることがわかる。そのうちの1両はノビノビ座席、もう一両はシャワー室付きの車両でB寝台個室「ソロ」で、同じくB寝台個室の「シングル」よりも価格を抑えてリーズナブルな設定になっている。つまり、それ以外の車両はすべて「客車」と同様ということだ。
では今回注目している683系はというと、比較的「モ」つまりモーター車の比率が低い車両だ。編成中のほぼ3分の1に抑えられている。これは「夜行列車に向いた車両」ということにならないだろうか。ちなみに多くの車両では約半数がモーター車という比率になっている。
サンライズの285系と同様にノビノビ座席についてはモーター車に設定することにより、「騒音がいくらかある代わりに安く横になって寝られる」というわけだ。そして、モーターのない車両に静かな座席を設定することができる。
仮に、いわゆる付属編成として現存する3両ユニットを使うのであれば、クハ-モハ-クハの組み合わせを一部組み換えまたは改造してクロ-モハ-クハとしてもいいかもしれない。いや、願わくばクハネ-モハ-クハとして一両寝台車になってくれたら。そんな妄想が頭をよぎる。
夜行快速ムーンライト運転区間は?
オーソドックスに考えると京都や新大阪を起点にするのだろうが、そのエリアの需要を考えつつも新幹線接続による新たな需要の発掘ということで、あえて敦賀起点の設定にしてみたい。そして行き先は四国・松山と九州・小倉(門司港)。3両×2編成の組み合わせで2方向設定したい。
ここで問題になるのが分割併合を行う駅だ。あまりに夜中の作業になると人件費がかかりすぎてしまう。したがって客扱いを行っている時間帯に済ませたいだろう。ちなみにサンライズ出雲・瀬戸は下り6時台、上り22時台ということで、いずれも深夜帯を避けている。
もしも分割作業を岡山で行うなら終電の0時ごろまでにということで、敦賀発(19:30)、米原(20:10)、大阪(21:30)、岡山(0:00)、徳山(5:00)、新山口(5:45)、下関(6:55)、小倉(7:15)折り返して門司港(7:50)。⇒宇多津(0:50)、時間調整の後松山到着。
でも実際にはもう少し遅い時刻の方が使い勝手が良くなるのではないかということで考えたのが、「姫路なら終電が1時過ぎだ」という点。ここを分割駅にして逆算すると、敦賀発(21:00)、米原(21:30)、大阪(23:00)、姫路(0:40)、徳山(6:40)、新山口(7:25)、下関(8:45)、小倉(9:00)折り返して門司港(9:45)。⇒伊予西条(5:30)、時間調整の後松山(7:00)。
うん。後者の方がいいな。
入り口を多くする~新幹線乗り継ぎも~
基本的には大阪・京都あたりの乗客を中心に需要を考えることになるが、起点を敦賀に、そして米原経由にすることで北陸新幹線・東海道新幹線からの需要も取り込みたい。
東海道新幹線からの乗り換えを考えるなら東京発の新幹線は18:30過ぎで、米原21時前に着。仕事を終えて準備して出発するということも可能。北陸新幹線経由で敦賀乗り換えなら東京発は17:00ごろか。
北陸新幹線にはセット割引も
こうして比較すると、北陸新幹線は東海道新幹線に対して分が悪い。JR西日本にとっては北陸新幹線を利用してほしいし、敦賀という地方都市の駅をもっとメジャーにしたいはずだ。そうであれば、セット割引を設定したいところだ。
あくまでも夜行列車ファンの妄想。だけど・・・
好き勝手なことを書いてきたが、あくまでもこれは夜行列車が好きな私の妄想に過ぎない。でも、JR西日本さんならそんな願いを受け止めてくれそうな期待も少しある。
WEST EXPRESS銀河という列車は117系の古い車両を改造したものだが、夜行運転も含めて長距離運転を予定している。車齢が古いので一体何年維持されるのだろう?という思いもあるのだが、「もしかして、これって需要発掘に向けた社会実験の一つだろうか?」などという期待を込めた予想もしたくなる。
683系は交直流両用という類まれな性能を持ちながら、交流機器の使用停止をするだけの将来が残念に思えるということも含めての期待を込めた妄想なのだ。
さて、あと2年と少し先の「北陸新幹線敦賀開業」時、どんな鉄道風景が待っているのだろうか。