※ この記事は2年前の記事のリメイク版です
1日平均乗車人数が1人未満!
JR北海道にはそんな駅がごろごろしています。これはつまり、その駅から乗る人が1日に1人いるかいないかという状況なのです。それは例えば・・・
◆学生さんが一人、平日だけその駅を利用。
または
◆老夫婦が週に2回病院に行くために乗る。
それだけなのかもしれません。
そういう状況だと、JR北海道が言っていた「鉄道ではない他の交通機関を設定したほうがよい状況」という判断が下されやすいかもしれませんね。しかも、駅周辺には民家らしきものがほとんどないケースも少なくありません。
そのようなわけで、ハイエースやキャラバンを使った乗り合いタクシーのような形態でもっと人が住んでいる所を通る方法を模索し始めたとしても不思議ではありません。
※この記事の画像提供:歩王様・タケちゃん様・日本海ファクトリー写真部
廃駅実施でかかる費用は無駄じゃないの?
さて、この春すでにいくつもの駅が廃駅となり、今後も廃駅となる候補の駅がいくつもあります。すでに廃駅となった駅の例として、根室本線・花咲駅、石勝線・東追分駅があります。
● 根室本線・花咲駅
この花咲駅は昔はとても栄えた駅だったとのことですが、花咲漁港からも結構距離がありますし駅周辺には民家と呼べるものはわずかしか見られません。そのようなわけで廃止となり、現在では駅前に駅名標風の記念プレートが飾られているだけです。
● 石勝線・東追分駅
石勝線はスーパーとかち号やスーパーおおぞら号に加え、REDBEARの貨物列車も多く通ることから、列車交換の設備としての大きな役割もあった東追分駅ですが、それでも乗り降りする旅客人数という点では一日あたり0~1人という状況が何年も続いている残念な状況にあったため、やはり廃止して旅客営業を終了してしまいました。
この駅の場合、単なる棒線状の駅ではなく2面2線の設備に跨線橋もある立派な田舎駅?ですので、一駅だけでも構造物の量が結構多く、階段部分、渡り部分など、いくつものパーツに分けられて解体されました。
この駅を拠点にして、跨線橋からの風景や四季の鉄道写真を撮影なさっていた方もいらっしゃいました。
(画像提供ありがとうございます。)
そこで最大の疑問が沸くわけです!
これらの両駅とも、そしてその他の廃駅もですが、ホームや駅設備を一生懸命撤去しているのです。重機を何台も使って、何人工もかけて、ホームを粉砕し、弧線橋を解体し、駅舎もすべて撤去するのです。
この非生産的事業にいったいどれだけお金をかけているんでしょう?
この経費、減らせないんでしょうか?
4ヶ月もかけて、結構な費用になるに違いありません。
「全列車の通過を前提に【予約停車の駅】を存続させる」!
駅の解体に費用を投じるくらいならもっと有効なお金の使い方がないものかと思って考えたのが・・・
乗る人がいる時にだけ駅に列車を停車させる案です。
それは、①インターネット予約による停車および、②「次のバス停、停まります」の逆バージョンです。
両方に共通するのは、運転士さんがタブレット端末などを携行して、停車依頼が入れば即時連絡が入るようにするということです。そして列車の時刻設定は従来とほとんど変わらない設定で、列車はややスピードを落として走ります。そして利用者の少ない駅(たとえば1日一桁の乗車人数?)は原則として通過することにしておきます。
① インターネット予約・・・こちらは予約ができるアプリを無料配布してもいいですし、ブラウザから予約できるサイトを用意してもいいですね。いずれにしても、すでにある施設を撤去することによる「何も生み出さない」工事の費用をかけるより有意義な投資だと思います。
② 「次のバス停、停まります」の逆バージョン・・・路線バスに乗ると、窓側座席のところに押しボタンがあって降りたいバス停の意思表示をできるようになっていますね。逆に、だれも押さなければバス停を通過します。言ってみれば、その押しボタンを乗り物のほうではなく駅の待合室またはホームに設置して乗りたい人は押しボタンを押すようにします。つまり利用者がいるときだけ列車が停まるシステム、「乗りま~す方式」です。
これにはいろいろとメリットがあると考えられます。
●燃料の節約・・・利用者がいなければもちろん通過するので加速・原則の繰り返しを少なくして省エネ効果があります。また、停車の可能性を考慮して余裕を持った時刻設定をするためいくらかスピードを落とし、エコノミー・スピードでの走行が可能となります。そして、結果的には車両メンテナンスの面でも益になるはずです。
●時間短縮・・・停車回数などのデータの積み重ねによって、結局は時間短縮にもつながっていくことでしょう。仮に10駅ほど該当する駅があるとして、この方式でも停車する駅は4分の1にも満たないことがわかるかもしれません。とすると、4分の3の駅の停車時間を削減して列車そのものの利便性を高める結果にもなると思われます。実際、学生さんの利用の無い日中の運転に限るとこれらの駅の多くは通過する結果になるかもしれませんよね。
時刻表には2列表記で「予想時刻」も併記
ローカル線の場合、時刻表でのその欄は結構スカスカですから、1列車あたりの記載内容を増やしてもあまり問題にはなりません。ということで、先に述べた設備を備えた「利用者の少ない駅」はすべて通過のマークをつけておきますが、そのすぐ隣に「ボタンを押して停車する場合の時刻≒通過時刻」を併記しておくとよいと思います。
こうして、バス停代わりに駅を残しておくことは「地域の足がなくなる!」と廃止反対する人たちに対する答えになりますし、何のプラスにもならない「解体経費」を支払わずに済むことにもなります。
駅の運営費用~自己責任と自治体責任
駅の存続に伴って、重くのしかかる費用のひとつは「除雪などの利用者向けサービス」かと思います。駅前と道路に関しては自治体の責任範囲として、ホーム上については利用者自身が安全の自己責任を意識するよう促すことも必要ではないでしょうか。
そして、列車の乗降口は1か所で十分です。当然ながら便宜を最優先した位置に停車し、乗降口目前までの防雪通路を簡易に設けてはどうでしょう?。人がすれ違えるだけの幅で十分です。待合室がある駅なら、そこから扉までの短い通路です。
このようにして、一度の簡単な投資をして、継続的にかかる費用をトコトン減らすのです。あるいはこの点については自治体に駅存続の条件として提示し、負担してもらうのもいいのではないでしょうか。
もっと広げてもいい「予約停車の駅方式」
今回ご提案している「予約停車の駅方式」ですが、最初のほうでは例として「一日あたりの乗車人数が一桁の駅」と書いてみましたが、実際にはもっと広げても言いかと思います。なぜなら、仮に一日あたり30人の駅でもその大半が学生さんだったりするわけです。定期券の発行数からすぐに割り出せるでしょう。
したがって、通学時間帯はしっかり停車させて、日中に押しボタンの「予約停車の駅方式」を使ってもいいわけです。北海道の場合(またその他の地域の閑散路線でも)かなりの割合で対象駅になることでしょう。
夕張支線の例のように、自治体から何らかの負担をさせられつつ廃線するより望ましいと思います。
それでも無理そうな路線は・・・
上に上げた夕張支線、すでに廃止となった留萌本線末端区間。そのいずれも「駅単位でなく路線単位」で厳しい状態でした。つまり、終端駅も数えるほどしか乗降者がいない(いなかった)のです。
この点では札沼線・新十津川駅や運休中の日高本線・様似駅も同様であり、「乗りま~す方式」ではあまり解決になりそうもありません。
一方で、同じように存廃が不安視されている根室本線(花咲線)や宗谷本線北部区間などは終端駅での利用者数がある程度あるので「乗りま~す方式」が活かせそうです。
いずれにしても、プラスにならない投資はやめて、本当に維持できないところかどうかよく見極めてもらいたいものです。