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特急あずさ号の簡単な解説
◆ 千葉・東京・新宿~松本・南小谷を結ぶ特急あずさ号。1966年に181系で登場して今なお走り続けている老舗特急のひとつである。この列車は表定速度が遅いことが長らく課題になっていた。というのも、東京近郊での過密ダイヤに縛られ、郊外では単線区間で足止めを食らうことが多かったからだ。大半は改良され、車両性能も向上したが、実のところ今なお単線区間が諏訪エリアに存在している。
画像提供:Amanogawa_exp様
特急かいじ号と同系統列車として運用。以前はL特急として運転されていた。
運転区間について言えば、ずっと以前から新宿発着という点で特異な存在だったが、国鉄時代末期に東京発・千葉発などの設定も見られるようになって利便性が高まった。また、大半が松本発着の設定である中で大糸線直通の設定も細々と40年以上にわたり続けられていて一定の需要があることを見てとれる。
名前の由来は北アルプスのふもとを流れる、長野県を代表する川の一つ、梓川。ビジネス客だけでなく、多くの観光客、登山客、そしてスキー客などを乗せて関東と信州を結んできた。1994年12月3日改正からはE351系によるスーパーあずさ号が加わり、標準版と速達版の2タイプ構成のダイヤが組まれてきた。
この形態から25年目を迎えて2019年3月には車両の統一が実施されることになり、スーパーあずさという愛称は消滅し、再び特急あずさにまとめられた。速達版と標準版という明確な区別がなくなったことに伴い、いくつかの駅で停車本数が大幅に削減されたことが物議をかもした。
◆特急あずさ号のデータファイル
【登場時:1966年12月12日】
・ ●運転区間:新宿~松本 運転本数:2往復 使用車両:181系電車10両編成。
【1971年4月改正】大糸線信濃大町駅まで季節延長運転を開始。
【1972年3月15日】大糸線への季節延長区間が、白馬駅まで延びる。
【 同年 10月2日】甲府発着の列車が1往復設定される。
【1973年10月1日改正】183系使用開始。食堂車が廃止となる。
【1975年12月6日】189系電車を使用開始。
【1982年11月15日改正】大糸線乗り入れを定期列車とし、南小谷駅まで区間延長。
【1983年7月5日改正】塩嶺トンネルが開通。辰野経由からみどり湖経由(新線)に切り替わりスピードアップ。
【1986年11月1日改正】中央本線の急行が大量に特急格上げとなり、特急あずさ号として統一。⇒22.5往復に。
同時に東京・千葉発着列車の運行開始。
【1987年12月改正】183系グレードアップ仕様の車両が登場。
【1988年3月13日改正】甲府駅発着列車を特急かいじ号として分離。
【1991年3月21日改正】成田空港駅開業に伴い、千葉発着のあずさ1往復を成田空港まで延長運転する臨時列車登場。
=ウィングあずさ号(1993年秋の運転で終了)
【1993年12月23日改正】E351系電車を使用開始。
【1994年12月3日改正】E351系により「スーパーあずさ号」運行開始。
【2001年12月1日改正】E257系投入開始。
【2002年12月1日改正】エル特急の呼称を廃止。車両をE257系に統一。
【2004年3月13日改正】号数の振り方を「通し番号」に変更。する。スーパーあずさ号の東京乗り入れ廃止。
【2007年3月18日】全席禁煙を実施。
【2010年3月13日改正】スーパーあずさ号の大糸線直通を廃止、「スーパーあずさ」は新宿~松本間のみとなる。
【2013年3月16日改正】スーパーあずさ号の東京乗り入れ再開。
・ ●運転区間:新宿・東京・千葉~松本・南小谷 運転本数:合計18往復 使用車両:E351系・E257系
【2017年12月23日】E353系を営業列車に投入。まずは4往復から。
【2018年3月17日改正】E353系をスーパーあずさ、全8往復に投入。
【2018年7月1日】E353系を特急あずさにも3往復に投入。
【2019年3月16日改正】E353系に世代交代完了。スーパーあずさの名称を廃止、特急あずさに統一。
【2020年3月14日】特急あずさ・かいじ号が共通で通し番号となる。
【2022年3月12日】2往復の甲府~松本間を廃止し、特急かいじ号に編入。⇒16往復に。
リニア中央新幹線計画と中央本線
長い間、リニア中央新幹線計画がどのルートを採るのかが微妙な情勢だった。もしも中央東線に並行して甲府あたりや諏訪地方、塩尻あたりを通ることになったら、いわゆる「並行在来線」として中央東線が第三セクター化されるなどして衰退化をたどることになる。
一方で、それとは大きく離れたルートを通るなら中央東線が存続するにとどまらず今まで通りJRの重要な路線として存在意義を持ち続けることになる。
ルートの決定に至るまでには紆余曲折合ったものの、リニア中央新幹線は南信地方の飯田付近を通るルートに決まり、中央東線は存在意義を確立できることになった。
皮肉なことに、そのルート決定によりほんの一部が静岡県内を通ることになったため、当時の静岡県知事の仁王立ちという状況に直面してしまう。決定したルートを変更することは一切検討されなかったが、最初から諏訪ルートをとっていればもっと話は早く進み、開業の遅れはなかったかもしれない。
E353系、2017年12月に登場!
それに伴って、関東~北アルプス方面の高速化があらためて強く望まれるようになり、そうして登場したのがE353系である。
かねてから早期投入が待ち望まれてきたE353系新型特急車両だが、2017/12/23にデビューした。E351系スーパーあずさの一部を置き換えて4往復の運用につき、さらに2018/3/17のダイヤ改正では倍増の8往復(定期列車)に充当された。
またやがて2019年3月16日ダイヤ改正からはこのE353系がE257系あずさ号もすべて置き換えることになる。車両の置き換えのスピードとしては非常に速い勢いだ。こうしてE257系がすべて置き換えられることにより、列車を車両形式で区別する必要がなくなるのに合わせて「スーパーあずさ」を廃止、特急あずさとして運転することになる。
E353系は振り子型車両だと思われがちだが、「空気ばね式車体傾斜」というシステムで、この方式により乗り心地が大きく向上する。傾斜角度は振り子型(5度)に及ばない1.5度であるが総合的な技術面の向上により、カーブでの通過速度はE351系と同等だそうだ。
インテリアの点でも多くの改善が見られる。例えば、普通車・グリーン車とも全座席に大型テーブルとコンセントを設置し、パソコンを使える環境を想定している。内装のカラーリングは、普通車が「南アルプスと梓川のきよらかさ」をイメージして青系のシートにグレーのデザイン。グリーン車は「機能性と高揚感、クラス感」をコンセプトとして印象的なブラック&レッドの組み合わせだ。
E257系を使用する臨時特急あずさもある!
JR東日本の直流区間において、汎用性の高い波動輸送車両として活躍中のE257系5000番代。古巣での活躍ということで、注目されている。
画像はどちらも2024年8月17日土曜日の富士見駅。大勢の乗客を乗せて運転されていた。
◆特急あずさ・スーパーあずさ号のお役立ちサイトご紹介
●【鉄道模型製作用参考写真集】・・・ 編成単位ではなく、1車両ごとのサイドビューをとらえたスリット写真集。大きな画像データなので細部に至るまで見て確かめることができる、非常におすすめのサイト。 ●189系あずさ
●【トレインブックス・国鉄型車両図鑑】・・・ 形式写真を専門に撮っていらっしゃる方のサイトです。斜めからのアングルで、前面や台車周りを含めてみることができます。 ●E351系 ●クモハE257-1 ●クハ183-1018
●【座席探訪】・・・ 列車内の様子を解説してくれているわかりやすい写真集。車両のタイプごとに詳細な解説と画像が含まれているサイト。おすすめです。 ●E351系 E257系 183系
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