国鉄型車両の終焉へ~函館地区から撤退へ~
安全性の向上が急務となり、老朽化している国鉄型特急車両から新型車両に置き換えを進めているJR北海道。これまでにもキハ183系初期型の淘汰を進めることが発表されていましたが、それに伴う特急型気動車の移動が少しずつ明らかになってきています。
2017/12/15のJR北海道からのプレスリリースにおいて、2018年3月17日のダイヤ改正でキハ183系が札幌ー函館間から姿を消すことになったと発表されました。
1994年3月にキハ281系が投入されてスーパー北斗として運転するようになった後も、キハ183系特急北斗と共存する時代が20年以上にわたって続いてきたわけですが、北海道新幹線の開業に伴って連絡特急の需要が高まり、安定した輸送の実現が課題となってきました。そして、ここ数年続けられてきたキハ261系の投入に次ぐ投入によりついに2018年春、キハ183系をこの区間の運用から外すに足る車両数に達するという流れです。
キハ183系撤退&キハ261系追加投入のメリット
【1】維持車両の削減
来年3月のダイヤ改正まで、札幌~函館間には3往復のキハ183系特急北斗が存在するわけですが、その運用を維持するということは予備車両をスーパー北斗用の他に特急北斗用にも用意する必要があるということを意味します。つまり実際に走らせないで休ませている車両数が増えるわけですが、すべてをスーパー北斗レベルの車両に統一することによって予備車両を減らせる効果があります。
キハ261系やキハ281系と国鉄型のキハ183系(高速仕様)とでは、最高運転速度が同じであっても性能や余力に大きな違いがあり、所要時間にその差が現れています。比較してみるとキハ183系では3時間50分~4時間ほどで、スーパー北斗の多くはそれより5分~10分早いダイヤが組まれています。
この、性能差による差をなくしていくことによってダイヤ設定にリズムが生まれ、より安定したダイヤを組むことやタイムロスを減らすことに貢献します。
【3】車両の維持管理の効率化
車両の保守点検を担当する部署において、扱う車両の種類が多いことや年式が幅広いことは大きな負担になることでしょう。その観点からしても、国鉄型を分散させず一極集中させ、必要なところには新型車両を集中投入するのは良い方法だと言えそうです。担当者様の整備知識や経験の点でも、予備部品の確保・補完の意味でもそういえますね。そう言った効率化が進めば必要な用地・建物の整理といった面でも効率化できる分野が付いてくるように思います。
ところで、特急の愛称は?
こんな疑問が沸いてくるのには訳があります。それは、以前は次々と現れていた「スーパー・・」という特急の愛称が、近年下火傾向にあるからです。スーパー宗谷 ⇒ 宗谷、スーパーカムイ ⇒ カムイといった具合に、「わざわざつけなくてもいいんじゃない?」という意向が見え隠れします。
確かにSUPERという意味通り速そうに聞こえますが、愛称を表示する出発案内板や車両の入口のLED表示器においても、文字がごちゃごちゃしている印象は否めませんね。もうちょっとすっきりさせた方がかえって利便性向上になるかも。と、「スーパー・・」の愛称も善し悪しです。
その一方で、新幹線からの乗り継ぎ客を想定して考えるとイメージも大切だと言うご意見も理解できます。
それで、結局「スーパー北斗」で統一することになったようです。
※画像は今はなきスーパー白鳥号のものです。
特急北斗のキハ183系はところてん方式で北見・網走方面への特急に
特急北斗の車両をすべて261系に置き換えて、キハ183系高速仕様の車両は石北本線の特急オホーツク・特急大雪の運用に就くため転属します。
現在これら石北本線の両特急列車はキハ183系初期車両も含めた運用を行なっており、前述のとおりすでに近い将来の引退が発表されていますので、その置き換えが「比較的若いキハ183系」によって行われるということです。
*画像提供:♪An’s Railway memo☆ 様。無断使用厳禁。
このことは、特急オホーツク・特急大雪のスピードアップにつながり、いくらかの時間短縮を達成できるものと思われます。また、先頭車両の乗車定員が少ないという問題も解消されることでしょう。
その一方で、ファンとしては少々さびしく思うのが「スラントノーズ車の引退」と「大型ヘッドマークの終焉」でしょう。実際、キハ183系スラントノーズ車のHM窓は、ロール式のマークとしては最大級のものなのです。
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この春、また幾らかの動きがあるJR北海道ですが、単独で維持困難な路線がリストアップされているなど、依然として厳しい経営状況です。引き続き地域をつなぐ懸け橋として元気でいてもらいたいと願うばかりです。