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【1988年8月19日】「何度さよならを告げただろう」寝台特急北斗星の旅~その3

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寝台特急北斗星・ED79 鉄道旅行記

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1988鉄道旅行★北海道の目次

函館の夜景・・・

湾曲した窓から見える星はいつもと違う面白さがある。
星座も途中から湾曲して全く違う形に見え、「これやったらむしろ〇〇の形やな」というように新しい星座を思いつくようなひとときだった。

湾曲ガラスは面白い。

しかし、電気を消していたとはいっても見える星には限界があり、大阪の自宅で見ているのとほとんど違いはなかった。しかも、大沼を過ぎたあたりから一気に雲が広がり始め、数分後にはすべて見えなくなってしまった。

「そういえば、もうすぐ函館やけど夜景はきれいかな。」

今思えばなんと安直で短絡的思考なんだろう?と笑ってしまうが、「函館と言えば夜景!」という思いがあったのだ。もちろんこの北斗星が函館山に登るわけはない。「夜景はどこ?」などと思っているうちに函館駅に到着してしまった。まだ21時40分。3本走る北斗星の1本目だけあって、函館までやってきてもまだ有効時間帯である。

停車時間は6分だけだがその間に機関車の交代が行われた。ここで進行方向が変わるため先端のDD51ディーゼル機関車の重連は連結を解除して外れるだけ、最後尾だった部分にED79(青函トンネル用)電気機関車が連結されるだけという、とても効率よい作業となる。逆に言えば鉄道ファン的には両方の作業を見るのはなかなか至難の業ということでもある。

寝台特急北斗星・ED79

寝台特急北斗星・ED79

僕のアルバムにはED79のピンボケ写真だけが入っているのでDD51側には行かなかったことがよくわかる。それも当然と言えば当然かもしれない。なぜならED79が役目を終える青森駅も函館駅と同様の作業となり、うっかりするとこの機関車の姿を見過ごしたまま終わってしまう可能性があるからだ。

時間帯が早いわりにホームに降りる人が少ないのが意外だったが、連結の音が軽く響くのを見守った後、再び列車に乗り込んだ。そんな僕の後ろを先ほどまで牽引してくれていたDD51の重連が通り過ぎて行くのが見えた。

ピーーー! っと甲高い音が鳴った後、列車は先ほどまでとは反対方向に動き出した。ホームの明かりが少しずつ遠ざかっていくのが見えたが、目の前には車両基地が見えてきた。例のDD51重連のエンジン音がまだ響いているのが一瞬感じられ、小さくなっていった。まるで先発ピッチャーが中継ぎ投手に後を託してクールダウンのキャッチボールをしている時のような雰囲気だった。

さよなら北海道!

函館から5分ほどで、つい先ほど通ったばかりの五稜郭駅に再びやってくる。そしてまもなく函館本線に別れを告げ左側に大きく分岐する。5番目の路線、津軽海峡線だ。

この先の楽しみといえばやはり青函トンネルに入るタイミングだろう。それはすなわち北海道の景色とさよならするタイミング。その瞬間がいつなのかしっかり記録しておきたい。そう思って待ち構えることにした。

時刻は22時30分頃、そろそろその時が訪れてもおかしくはないかなと思ったのだが、通過する駅の駅名標がよく見えないため正確にどのあたりを走っているのか掴むことができずにいた。しかしやや存在感のある駅を見て木古内あたりだろうかと感じたのでもう少しもう少しと気持ちが高まっていくのを感じた。

22時36分39秒、トンネルに入った。しっかりその時刻をメモにとり僕は「この時刻を一生忘れないぞ」と思った瞬間、トンネルを抜けた。

「あれ?」と拍子抜けしたが、考えてみればトンネルなんていくつかあるかもしれない。ただ時刻も時刻だしそろそろやはりその瞬間が訪れるだろうと思い、「さよなら北海道~」と心の中で叫び手を振りながら次のトンネルに入った時刻も記録した。しかし、また抜けた。

まぁ・・・、そういうこともあるかもしれないな。気を取り直して・・・。
今の時代ならスマホを手に持ちグーグルマップを開いてGPSが示す位置情報を見れば済むことだが、そんな便利さが想像すらできなかった時代だからこんなことが起こるのだ。

結局、この「さよなら北海道~」という心の中の叫びと無駄に手を振る行動は5回、6回と繰り返されたと記憶している。そう、そのたびに微妙にテンションが下がるのを感じ、疑いの気持ちと共存する「さよなら北海道だった。北斗星2号は単調に光が流れていくトンネルをどんどん進んだ。今度こそ間違いない。

「あ、時刻をチェックするの忘れた!」

まるで作り話のようだが、一つ前のトンネルまでチェックし23:07と書いているのに最後だけ忘れてしまっていた。これについては、僕以外にも同じ経験をした人がきっといるんじゃないか? そう今も思っている。

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【1988年8月20日】「青森駅、そしてモーニング」寝台特急北斗星の旅~その4

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