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【1986年8月】鉄分よりミネラル・・・隠岐の島の旅

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★前記事⇒ 【1986年8月】20系急行だいせんの旅~往路編~

◆隠岐汽船を目指して七類港へ

国鉄松江駅のホームで急行だいせん5号に別れを告げ、
肩に掛けた重い荷物、「輪行袋」をほどく時が来た。

初めての実戦にしてはてっとり早く自転車を組み立てて七類港を目指した。

この日の松江は山陰らしくない?、燦燦と輝く太陽が照りつけた。
暑い日差しと爽やかな風の中、僕はひた走った。

初めて走る地ということで、新鮮さと不安が気持ちの中で交錯する。
特に、道路が小高い丘になったり、人里離れた林の中をひたすら進む時、
そして道幅が急に狭くなるときも、「ほんまにこの道で大丈夫かなぁ」
なんて思えてきたりもした。

でもとにかくまっすぐまっすぐ進んでいくと目立たない小さな看板が現れた。

【↑ 七類港】

看板の大きさはともかく、道を間違っていないことだけでもわかって安心した。
「よかった~。ほんま、よかった~。」僕は安堵の思いでペダルをゆったりこいだ。
走り出してから約55分で七類港に到着した。

◆人で賑わう七類港

七類港を目前にした僕の目にまず飛び込んできたのはフェリーおきじの姿。
僕がこれから乗ろうとしているフェリーだった。
想像していたよりずっと大きく、ワクワクした。

出航前の七類港は人で賑わい、とりわけ夏休みで大勢の帰省客が列を成していた。
僕も急いで自転車を解体することにして、作業を始めた。
解体作業は大阪駅に続く2回目。少しはコツをつかみ、輪行袋にしっかり入った。

そして、券売所へ。もちろん僕の席は雑魚寝の2等席だ。

◆ごったがえすフェリーおきじの船内

船室に入るとテレビでは、ちょうど真っ盛りの高校野球を放送していた。
そんな熱い高校野球のテレビ観戦も捨てがたかったが、それよりこの船旅。
鉄道旅行が最高なのは変わらないが、せっかくの船旅もしっかり味わいたかった。

まず、甲板に立った時のこの向かい風。
窓が開かない特急旅行には無いダイナミックな感覚だ。

そして、どこまでも続く海の香り。そして、なんと船の横には「とびうお」!
船と並行ではなく、船から遠ざかる方向へとまっすぐ飛んでいく。
そんなひとつひとつの光景が素晴らしかった。

出航から約1時間経過、水平線の向こうに隠岐諸島が見えてきた。振り返ると本土。
両方が見えるのはこの先どのあたりまでなんだろう?
そんなことを思いながら、気が付くと2時間半の船の旅が終わろうとしていた。

◆隠岐の島に上陸!

フェリーはついに鉄分ゼロの土地、隠岐の島へ。
おき西郷港の構内の一角で自転車を組み立て、とりあえずまっすぐ走り出した。
渡船場の建物に沿って左右に行く道があるが、それではなく前進する道。

右手にはPier ( ピア )というショッピングセンターがある。
「ふ~ん、思ったより開けた町なんやなぁ」
すると、そのビルの際の道に【西郷測候所→】という看板があった。

僕はこの頃、天文気象部に入っていたのだが、
そこで毎日のように聞いていた気象通報に登場する気象観測点のひとつがこの「西郷」。
だから、可能なら行ってみたいと思っていた場所だった。

そのようなわけで、そこからのきつい坂を登って測候所に到着した。
測候所の職員さんたちは「見学させてほしい」という、僕の突然の申し入れを
喜んで受け入れてくださり、ご親切にいろいろと説明してくれた。

そして、おみやげ代わりに様々な種類の天気図用紙をプレゼントしてくださった。
帰る前に、門のところで自転車の記念撮影。

その後、親友が車で迎えに来てくれた。
三菱の軽、ami55 という小さい車だが、何とか自転車を輪行袋に入れて積んだ。
そして東回りで島を巡り始めた。

山間のクネクネする道をドンドン進んでいくと、西郷町を出て布施村に入った。
大阪に住む僕にとっては「村」という言葉がやけに新鮮に感じる。

行先は浄土が浦という、美しい布施村の中でも極めて美しい海岸だった。
親友の友人たちが集まっていて、海遊びをしている。
隠岐で海遊びと言えば岩場で潜って海産物を採ってその場で調理して食べること。
身が詰まったウニをごはんに混ぜておにぎりにして岩海苔でつつむ。
そしてしょうゆにドボン。爆弾おにぎりの完成!

とにかくおいしいひとときを過ごしてその日を終えた。

隠岐の島の2日目

僕は親友に車で隠岐の島のあちらこちらを案内してもらった。

今度は島の北側へ、五箇村に行った。またしても村である。
島の裏側の小さな小さな村だが、思いもよらないビックリの事実をここで知った。
あの、領有権問題に揺れる、遠い遠い竹島がこの五箇村の一部だというのだ。
これには、小笠原諸島が東京とだという以上の驚きがあった。

その後、中村海岸に行った。漁港拡張工事をし始めたようだ。
この海岸は桜貝や紅貝の貝殻が時折、海岸に打ち上げられる場所だったらしい。
親友は何度かここで拾ったらしく、工事が進むと桜貝がなくなると心配していた。

さて、この海岸沿いに出ていた店で、サザエのつぼ焼きを食べた。
採れたて、焼きたてはしょうゆの香ばしい匂いで本当に美味しい。

その後向かったのは、ローソク島。
海の中に突き出るようなローソク形の島(岩?)に沈んでゆく夕日が重なると、
ローソクに火がついたように見え、すごい美しい景色になるという。
まぁ、そんなにうまく重ならないが・・・・。
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