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【1987年8月】米子駅は気動車の魅力たっぷり

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うっかりミスで、特急やくも1号の特急券を座席に置いてきてしまった僕。
あまりにも情けない失敗にちょっとガックリしながらも、
この米子駅で鉄道写真撮影会を始めた。

するとそこで、僕の気分を一新してくれる光景に出会った。
ヘッドマーク付け替え作業中のキハ181系特急おき
それは、一見よくあるキハ181系ディーゼル特急の姿だった。

だが、でも何かが違う! そうだ。
なんとも悠長に駅のホーム下の線路に立って作業する姿!
客車の先頭に立つ機関車の付け替えならまだしも、
そんな作業不要のディーゼル車で、すでにホームに入ってからそんな作業を・・・
それが何とも新鮮な感覚で、昔なつかしいような思いがして、すぐに撮影した。

作業員さんは設置完了したヘッドマークを見て「良し!」と、ちょっとニッコリ。
こんな風に直接人の手が掛かっている姿を実際に見ると、
車両たちがとても大切にされているように見えてくるから不思議だ。
見ていた僕はすごく気持ちが和んだのだ。
「ちょっと昔の鉄道員さん、あんたはえらいっ。」

それにしても、この日の米子駅では何度も何度もヘッドマークに目が向いた。
もちろん、普段からヘッドマークは大好きなのだが、
ちょっといつもとは違う感じで目についたのがこの日。

続いて僕の興味をそそったのは「わかとりライナー」だ。
急行型気動車キハ58を使用したこの列車は、快速扱いの列車でありながら、
とても誇らしげにヘッドマークをいただいている。

キハ58。ちょっと昔の名脇役としてどこにでもいたあいつだ。
というわけで、実質的に急行とまったく遜色ない列車だったのが、
この、わかとりライナーなのだ。

同様の存在に「しまねライナー」というのもあった。
ちょうど、僕の後ろから駅の作業員さんが何かを抱えて歩いて来た。
まさに快速しまねライナーのヘッドマークプレートとサボだ。

おそらく「わかとりライナー」が、ここからは「しまねライナー」として運転するのか。
いずれにしても、キハ58の快速なんて贅沢だなぁと思いながらその列車を眺めた。

作業員さんは特急おき の時のように線路に降り立つことはなく、
テールランプのすぐ上のホルダーの差し替えを行ない、サボホルダーに向かった。

そんなほのぼのとした雰囲気に心なごんだ僕を、
さらにずっと驚かせる出来事がこの直後にあった。

それは、さきほどのホームから隣りのホームに移ってからのことだが、
急行ちどり号のヘッドマークが、なんとホーム上に放置してあったのだ。

というか、実際には次の準備として置いてあったのだと思うが、
都会ではなかなかこんなのんびりした雰囲気はありえないと思う。

もちろん僕はこの機会にヘッドマークの感触を確かめたくてベタベタと触った。
デザインや文字がたくさんのリベットで止めてあることをこのときはっきり知った。

僕は、ふと思い立って写真を撮ることにした。
「近くで見るヘッドマークはやっぱり大きいわぁ。
そうや、大きさが分かるように自分の靴を隣りに置いて写真撮ってみよか。」
ちなみに僕の靴のサイズは25.5センチだ。

ヘッドマークの大きさは靴の2倍ほどあった。
ブルートレインなどのものよりは少々小振りなのだろうか

それにしても、こんなところに置いてあるなんて本当にすごいなぁ!
いや、もしかしたらさっきまで落ち込んでいた僕への慰めだろうか?
確かに嬉しく、そしてとっても珍しいひとときの経験だった。

急行ちどり号のヘッドマークに触れて写してすっかり楽しんだ後、
2番線ホームに特急列車が来るのが見えた。特急いそかぜ号だ。

ふと、昨年夏の いそかぜ号の思い出がよみがえってくる。
急行だいせん5号に乗車する時間を待って、撮影会をしていたあの夜。
ホーム上にいた僕に作業員さんが「ちょっと降りておいで」と、
特別に声を掛けてくださり、線路上であの時触れたのが、いそかぜ号だったのだ。

これから九州・博多を目指して長い旅に出るところだろう。
綺麗に洗いあげられた車体が少し輝いている様に見える。

思い起こしてみると、特急まつかぜ号の区間短縮が決まった時すごく残念に思い、
「何が いそかぜ やねん。そんなんいらん!」と、横暴なことを思った事もあった。
でも今は大好きな、忘れられない特急列車のひとつになった。

ほんとうに去年の思い出が素晴らしかったからだ。

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