【コラム】北海道に豪華クルーズトレイン導入という話は無茶なのか・・・ | 列車データ館
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【コラム】北海道に豪華クルーズトレイン導入という話は無茶なのか・・・

鉄道コラム
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クルーズトレインのブーム!

2013年10月15日、博多駅の駅長さんが白手袋をはめた手を高く掲げて出発の合図をし、ななつ星in九州が走り始めてから早くも3年。相変わらず高い競争倍率で抽選で外れてしまうという嘆きの声と、当初でも高いと言われたツアー料金がさらに数段階の値上げを実施したという驚きの声が度々聞かれ、とにかく需要と話題性ではしっかりと地位を築いていると感じさせられます。

そして、2017年に入りトワイライトエクスプレス瑞風号(JR西日本)とトランスイート四季島号(JR東日本)の両・新型クルーズトレインが営業を開始したとのニュースが耳に入ったかと思えばそれから早くも半年。

これからのJR、そして日本の鉄道はクルーズトレイン大国になっていくのでしょうか。

北海道にもクルーズトレインを走らせたい!

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空前のクルーズトレインブームの中で、ただ指をくわえて見ているわけには行かないと思ったのか、昨年になって「北海道でも“ななつ星in九州”のようなものをつくれないか」という意見が出るようになりました。

確かに、沿線の魅力という意味でのポテンシャルが非常に高いのに、それをクルーズトレインとして提供できないのは非常にもったいないという考えは当然のごとく出てきたといえるでしょう。

とはいえJR北海道といえば「単独で維持困難な路線・線区が・・・・」などと言っている通り、豪華列車を作るような余裕はなく、そんなことを考えている場合じゃないでしょう!という反対意見も起こるのが当然です。

ただ、この要望を持ち出したのがJR北海道ではないということを考えるといろいろと可能性を考えてみたくなるものです。きっかけとなったのは道東・道北地方の5つの町村会の要望だといい、それを受けて北海道庁が検討を始めたといいます。

クルーズトレイン成功の鍵は列車そのものに加えて・・・

ななつ星in九州は、列車単体での利益はそれほど見込んでいないといいます。この点は全国各地に見られる観光列車にもほぼ共通して言えることではありますが、ななつ星ではそれが特に際立っています。

列車はゆったり動くギャラリー

四季島調度品

たとえば車内の調度品には九州のすばらしい工芸品のひとつである有田焼が用いられていたり、そのギャラリーがコンパクトに設置されていたりします。さらに、スイーツのひとつとして出されるジュレに、幻の焼酎と評判の森伊蔵が使われていたりと、車内におけるどのジャンルもとにかく「一流の九州」。

訪日客にも、国内利用の方にも「九州の誇り」をさりげなく強力にPRする場となっていて、それがお土産の販売につながり、沿線の繁栄につながるので、地元のバックアップを勝ち得ることにもなっていると思われます。

つまり、ななつ星in九州は鉄道事業というだけでなく、JR九州が動かしだした九州活性化計画という旗を掲げているのです。

とはいえ、そこにいたるまでには地元の方々への十分な説明やお願いを繰り返していたと思われ、軌道に乗せるのは並大抵の努力ではなかったはずです。

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北海道版ななつ星はできるか?

これと同じことをJR北海道ができるか?と問われれば、経営体力上「無理」ということになってしまいますが、北海道庁主導ならできるかもしれません。いえ、行政主導だからこそ有利なのではないでしょうか。北海道活性化計画道庁のお仕事でしょうし、北海道そのものが抱えている大きな課題でしょうから。そして、成功の先例があり、大自然という膨大な財産があります。

ツアー列車に欠かせない観光地のネームバリュー

野生生物の楽園・根室

野生生物の楽園・根室

北海道にはツアーに向いた広大なエリアもありますからコースを何パターンも作れます。それはつまり、協力をいただいて益を還元すべき対象=スポンサーを数多く募れるということです。せっかく造るなら運転日数も多めに設定して立ち寄り観光ポイントを多くすることによって「地元バックアップ体制」の強化を図っていってもらいたいものです。

「大自然」を一つのテーマに掲げるなら、世界遺産・知床を筆頭に、釧路湿原、野鳥の楽園・根室、ラベンダーの富良野、オホーツク海の流氷など、数多くありますし、「施設」としても、旭山動物園、ニッカの余市、小樽のガラス、網走刑務所・・・まだまだありますが、数え上げればきりがないとも思います。

ただ、これらの場所だけじゃなく「もっと観光の発掘を行ってこそ行政主導の利点が発揮できるというもの」ではないでしょうか。そして地元を盛り上げ、感謝され、協力を得られるのです。

クルーズトレインの立ち寄り観光地は超有名スポットだけじゃない!

こんなことを書いたら叱られそうですが、クルーズトレインの立ち寄りスポットは「誰もが知っているような所」もある反面、「知ると味わい深い場所」だったりします。

ななつ星in九州では「陶板の絵付け体験」や「ガラス吹き体験」を楽しんだり、記念植樹といったイベントが含まれていますし、トランスイート四季島でも、山形・鶴岡のしな織布や新潟・燕の鎚起銅器など、伝統工芸を含めた深さやしぶさを感じるようなスポットがあり、それらを参考にすると北海道でも同じように立ち寄り観光スポットの候補になりうる場所がいっぱい発掘できると思われます。

九州・肥薩線の嘉例川駅のように、「なんでもない古い木造駅舎だったはずのところ」さえも、観光スポットになるのですからアイデアと味付け次第で成功に導くことは可能だと信じています。JR西日本・東浜駅なども同様の良い例と言えるでしょうね。

北海道観光活性化にはコンペ方式で!

立ち寄りスポットとして設定する箇所を選ぶに際し、クルーズトレインの運営側からお願いしているようでは活性化は促しづらいかもしれません。むしろ、「ぜひ立ち寄ってほしい!」、「うちにはこんな素晴らしい提案がある!」というようなPRをするくらいの気概のある企業・グループ・地方自治体などとの連携が望ましいでしょう。

その熱い思いこそが「旅のおもてなし」を提供するツアーとしての確立につながるのではないでしょうか。

できれば願いたい「準・豪華列車」としての設定

すでに登場している、またはまもなく登場するクルーズトレインの立ち位置は「最高の」豪華列車を競うものです。そのために定員30名少々で、2名利用が基本で100~200万円レベルのツアー料金となっていますね。

でも、逆にほんの少しサービスレベルを下げ、1名利用可能にしたり料金の引き下げをして、逆に定員を50名くらいまで引き上げることにより、少々異なる客層の受け皿になりうるという点は見過ごせません。

また、より多くの「人数」がこの列車に乗るために北海道に訪れるようになることが大事だと思うのです。

 

まだまだ検討段階の北海道クルーズトレイン。

ぜひ、北海道の魅力を発信する新たなツールとして役割を担う存在になってほしいものです。

 

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