北の大地のパイオニア電車
北海道新幹線の準備がらみでどんどんと変貌してゆく北海道にあって、
それとはまったく異なる理由で姿を消そうとしている車両があります。
・それは、711系電車。北海道の厳しい環境に対応するための工夫を施し、日本初の交流専用電車(営業車両)として1967年に試作、1968年から量産された車両です。
・通称:「赤電」として知られ、45年以上にわたって親しまれてきました。写真では初期塗装の車両と後期タイプ塗装の車両が連結して運用されているのが写っています。
・この「赤電」こと711系がこの春に引退することになっているというのです。
◆ 実は急行用車両?
・この711系、車両をよく見ると入り口のドアが車両の両端にあってデッキがあり、客室内にはズラズラっと窓が並ぶ「優等列車」によくある車両形状をしています。でもそれだけじゃありません。
・固定式クロスシートにおけるシートピッチが、その当時の近郊型の標準であった1400mmより広い1470mmとられていたこともやはり「急行運用を当初から想定した設計」だったようです。実際、急行かむい号や急行さちかぜ号といった列車がこの車両で運転していたようです。
・それは、逆に言うと「一般運用に就いているときはとっても乗り得な列車」ということでもあります。長い間人気を誇ってきたのはそのためかもしれませんね。でも時代は721系の転換クロスシートへと移り、711系の設備は時代遅れに、そして機器もすっかり老朽化してしまいました。
** 画像提供:・タケちゃん様
◆ 2タイプのカラーリングがある!
・冒頭の部分でも書いた通り、この車両のカラーリングには2種類存在しました。それは時代によって異なるのですが、1985年から塗り替えが行なわれたそうで、後期形は明るめの赤に細い白帯がサイドから前照灯の方まで続くタイプになっています。すいぶん印象が変わるものですが、それでも711系の特徴はおでこ上の2灯ヘッドライトですから点灯しさえすれば「やっぱり711系だ!」とすぐに実感することができます。
・時代によって異なる塗装の2タイプなので同時に存在した期間は長くないと思いますが、過渡期だった時期と、復刻塗装が活躍する今、両車の共存期間となります。そして、まもなく両方ともお別れの時が来ようとしています。北海道の鉄道の歴史に名を深く刻んだに違いない711系の雄姿を見られるのはあとわずかです!