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【1983年8月】初めての東京旅行~実行編~

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間違いなく出雲2号だ。
DD51の甲高い汽笛が響き、1番線に滑り込んだ。
僕らは目を凝らして機関車交換の様子をみつめた。

夢中になっていると、予想より早く発車の案内放送が鳴り出した。
僕らはすっかり焦り、とりあえず近いドアから乗り込むことにした。
さあ、僕たちの寝台を探そう!

列車はゆっくりと走り出した。
僕たちはついにこの憧れの列車に乗れたのだ。

それにしても、僕たちが乗りこんだ車両は機関車のすぐ後ろの車両。
窓の外を眺めながら通路を歩いて自分たちの車両、そして寝台を探した。

京都駅を出るとすぐ鴨川の鉄橋を渡り、東山トンネルに入った。
この辺りまでは小学6年で行った能登への旅行の時と同じだ。

しかし、山科を通過したあと線路は二手に分かれて行く。
湖西線・北陸方面とこの列車が進む東海道本線・東京方面だ。

僕たちは自分たちの寝台に辿り着き、ベッドにゆっくり座ってみた。
今思えば、特別すわり心地がいいはずはないと思うけれど、
初めて味わうスペシャルな感触が「最高の乗り心地」と感じさせてくれた。

荷物を置き、僕らはブルートレインの車内を探検した。
この出雲2号はあまり長い編成ではない。
紀伊勝浦から来る寝台特急紀伊と名古屋で併結するためだ。

それでも営業していない食堂車が連結されていて楽しい。
「ここで卓球でも出来そうやなぁ」などと笑っていた。
本当に、この列車は鉄道ファンにとって見所満載の列車なのだ。

探検していると、僕にとっては物珍しい事だらけだった。
たとえばB寝台車の通路に、補助イスがいっぱいある。
寝疲れそうもないとき、窓の外を眺めるのにピッタリな感じだ。

僕らはA寝台車までやってきた。
扉を開けて、少しだけ中を見ることができた。
禁断の場所・・・とでもいう雰囲気を見た。
それだけですっかり満足し、とりあえず座席に戻ることにした。

通路の補助イスに座り外を眺めていると車掌さんがやってきて、
「ご乗車になっていましたか。こちらの席のお客様ですよね。」
と、安堵の表情を浮かべながら検札してくれた。
おそらく探検中に訪れてくださり、探しておられたのだろう。

朱肉のない判子のようなもので、「は」と押されていた。
そうしているうちに列車は名古屋に着き、僕らはホームに降りた。
そう、ここで再び連結作業が見られるのだ!

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